幅広い選択肢

高校からは選択肢の幅が広がる

 みなさんは高校の授業を見学したことがあるでしょうか?毎年5月~7月、夏休み期間、9月~11月は、都立や私立の高校の授業公開や説明会が数多く開催されます。(私立高校は授業公開より説明会が多いようです。都立高校は5月~7月と9月~11月に授業公開週間があり、特にその期間中の土曜日は説明会も同時開催されます。都立、私立とも、夏休み期間は授業がないため、実施されるのは主に説明会となっています)。いろいろな高校の授業を見たり、カリキュラム(学習計画)の説明を聞いたりすると、小中学校に比べていかに高校の種類が豊富で幅広いかが分かると思います。自分の選択次第で、食品や保育、工業、商業、芸術など、中学までとはまるで違う科目を勉強することも可能になります。
 以下、そのいくつかの例を見てみましょう。

特徴のある高校の例

 都立高校で最も多いのは普通科ですが、その中でも特徴のある高校はあります。戸山高校は医学部等を目指す育成プログラム「チームメディカル」があり、病院や医学部、研究所などへの見学、体験といったキャリア教育が実施されています。墨田川高校や江北高校では各学年に2クラスの特進クラスを設け、学習指導を強化しています。国際高校は帰国生や外国人の生徒が数多く通っており、英語はもちろん第二外国語まで学習します。また、海外大学への進学資格である国際バカロレアディプロマプログラムの認定校になっています。
 普通科以外では、橘高校はものつくりから流通、販売までを学ぶ日本初の産業科です。農産高校には園芸デザイン科と食品科があり、草花造園や食品栄養、流通などに関して学ぶことができます。畜産加工など個性的な部活もあります。科学技術高校はスーパーサイエンスハイスクールの指定校で、大学レベルの実験環境を整備しています。つばさ総合高校は美術、デザイン、科学、国際、スポーツ、生活、福祉などの専門系列を軸に幅広い学習ができるという総合学科としての特徴の他に、国際試合が可能なサッカー場や全天候400mトラックなど設備が充実しています。この他にも、工業科や商業科、芸術系、昼夜間定時制など多彩な高校があります。
 私立高校では、普通科の進学校でも目的やレベルに応じて細かいコース分けがなされていることが多く見られます。普通科以外では、岩倉高校の運輸科や昭和鉄道高校の鉄道科には電車の運転シミュレーターがあり、専門的な知識を学ぶことができます。蒲田女子や貞静学園、品川エトワールなどでは幼児教育を、愛国学園や武蔵野大学附属千代田高等学院などでは看護の勉強を、東京音大付属や上野学園などでは音楽の専門的な学習をすることができます。他にも食品、服飾、スポーツ、国際、工学など数多くの種類のコースがあります。また、大学附属というのも特徴の1つと言えるでしょう。
 都立、私立ともに、全ては紹介しきれないので、ここに挙げたのはそのごく一部ですが、魅力的な高校やコースはまだまだあります。自分のやりたいことを考えながら探してみるといいでしょう。

よく考えて選ぶ

 高校の選択は、その先の進路に大きく影響します。例えば、もし大学進学を考えているのであれば、しっかりとした受験対策、進路指導をしてくれる高校であることが重要になります。さらに学校によっては、国公立と私立大学どちらを目指すのか、文系理系をいつ分けるのか、そもそも分けずに学ぶのか、また一般入試を想定しているのか、AO入試や指定校推薦を活用するのか、などの条件で細かくコースやクラスを分けているところも多いので、しっかり調べておく必要があります。
 また、高校卒業後は専門学校で学びたい、あるいは就職して働きたいと考える人もいるかもしれません。その場合は、高校の3年間で自分は何を勉強しておくべきなのか、どのような知識や技術を身に付けたいのか、といったことをよくかんがえなければなりません。
 どちらにしても、単に偏差値や内申点だけで機械的に決めるのではなく、学習内容や自分の適性、好みなどを十分に見極めて判断すべきだと思います。そのためにも、事前に高校の内容をよく調べておかないといけないのです。

まずは動いてみる

 夏休み、そして2学期は高校見学の機会が増える時期です。中3はもちろん、他の学年の人も高校に関心を持つのは良いことです。見学するのはハードルが高いと感じる人は、多数の高校による合同説明会もあるので、そういう場を利用するのもいいでしょう。もちろん、文化祭や体育祭に遊びに行くという手もあります。
 「将来何をしたいか分からない」という人は多いと思います。しかし、だからと言って選択を先延ばしにしていても解決しません。実際に高校の見学などをしていく中で、徐々に自分のやりたいことが分かってくることもあります。まずは動いてみる、というのが重要なのだと思います。大切な自分の将来のことです。面倒がらず、早めに積極的に行動しましょう。